上映会:金沢の羽山ごもり

はやま(羽山、端山、葉山)とは、山の端、人里のすぐそばにある山という意味である。そして、はやまに坐(いま)す神に対する信仰-はやま信仰-は、歴史も古く、また広く日本各地に分布している。福島県松川町金沢(かねざわ)に伝えられている羽山ごもりは、厳しい潔齋ののちに、はやまの神の託宣(お告げ)を聞き、一年の生活を律する、古いはやま信仰の姿を最も残しているとみられる神事である。

松川町金沢は、阿武隈山系の丘陵上の村で、羽山ごもりは、毎年旧暦11月12日から18日まで行われる1週間の神事である。神事は、金沢の鎮守神とされる黒沼神社の境内にある「篭もり屋」と、すぐ西方にある「神明(しめ)井戸」および黒沼神社の北方にある「はやまさま」にかけて行われる。

まず、神事のはじまる前日、神事の責任者であるカシキたちによる神明井戸の掃除。神明井戸は、神事の期間中、人々が朝夕の水垢離をとり、また朝夕の食事のハナ(米)をとぐ神聖な井戸である。 そして神事第1日目、村の男たちは各家々で水垢離をとり、黒沼神社境内の「篭もり屋」に入り、1週間の神事が終わるまで家に帰らない。

第1日目から第3日目まではいわば準備の期間。ただし第3日目には、「篭もり屋」内にシメがはられ、以後朝夕の水垢離をとらない者は、その内に入ることができない。また1日2度の食事を「ヤワラの儀式」と呼び、その炊事から食事が終わるまでが厳しい戒律をともなった儀礼である。
第4日目は、村内の古社をめぐる「小宮参り」。第5日目夜は、田植え作業を模した「ヨイサー行事」。
第6日目は、神々に捧げる餅を搗く「お峰餅の行事」、最後の食事の儀礼である「大ヨセの儀」「ゴッツォの儀」があり、第7日目の早朝、最後の水垢離をとった人々は、真っ暗な闇の中羽山にむかい「ノリワラ」による羽山の神の託宣を受ける。
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