上映会:茂庭のくらし - 狩猟・漁労・採集

1989 年より始まった茂庭の映像記録シリーズの最終回で第5編にあたる。福島市の北部、摺上川の上流域に位置する茂庭地区は、ダム建設のため、全体戸数の約45 パーセントが移転することになった。この記録は水没地区の直ぐ下流に位置する田畑、小泉の集落の方々を中心に、山菜、木の実、キノコの採集や狩猟、漁労など、四季の自然に対応した人々の生活と、その中で培われた人々の精神性を記録した。

-あらすじ-

春、宮城県の県境の山地から流れ出る摺上川は、雪融けの水もゆるやかになり、川沿いには春の花が咲き乱れる一年の中でも最も美しい季節だ。上流域の茂庭で、人々はクキつくりに川に入っていく。クキとは、人が自然の川に手を加えてハヤの産卵場所をつくったものを指す。乾いた砂利石を馬蹄状に築いた堤の中のツボに入れる。クキは、水の流れを読んでつくるので、長い間の失敗と成功の歴史の中に培われたもので、誰でもできるというわけにはいかない。出来上がって翌日には、ハヤは産卵のために集まってくる。体全体で新しい石に体当たりをして卵を生みつける。この時期ハヤの腹は赤く輝いているので、ここではアカハラと呼んでいる。

おなじ頃、摺上川の周りの山々は新緑にまぶしく輝いて、人々は山菜とりに山をかき分ける。ココメ、ウルイ、ゼンマイ。山の幸は川の幸と同じようにとる楽しさで一杯だ。主に女の人が山に入る。取り方にも、来年の為にと、深い注意をはらって取る。茂庭に住む人と自然の関係は、人間の一方的利得だけの略奪行為でないことを教えてくれる。

初夏、茂庭のあちこちでノバチが巣を作っている。この蜜をいただくのだが、蜜巣を全部とることはしない。半分から1/3は残しておく。

田植えの終わった田では、夜ドジョウブチが行われる。ヤスはヤマブキの芯に縫い針を植えてつくった。

川ではアユの解禁となり、アユのトモヅリが行われる。夏の時期のハヤはテンカラの釣り。ヒタシバリはアユやハヤがかかる。忙しい合間の仕掛けで夕方に埋め早朝針を揚げる。

秋、茸の季節だ、風倒木にはナメコがびっしりとつく。茸の王者はマイタケ。楢の木の根方に花咲くように付いている。茸も春の山菜も保存食として処理をする。茸にナンバンを入れると虫が逃げていく知恵を教わる。

冬、雪山で兎の巻狩りが行われる。大勢の勢子がひとつの山を巻いて兎をタチに追い上げていく。

かつて、冬でも川漁が行われていた。川の淵には氷が張り詰め、流れがゆるやかな淵にはハヤがたまっている。その周りを氷を割って壁のように立てかけ、雪を放り込む。するとハヤが浮いてきて、手掴みで取る近頃は川が凍る事がなく、このザイワレは行われなくなった。
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